アーメンコーナー(Amen Corner)とはマスターズの開催地オーガスタナショナルGCの象徴的エリアが由来
アーメンコーナー(Amen Corner)とは、毎年4月に開催される世界4大メジャーの1つ「マスターズ」の開催地であるオーガスタナショナルGCの、11番から13番の3ホールを総称する言葉です。
マスターズの代名詞とも言われる名物ホールで、毎年のように試合の行方を左右するドラマが生まれています。
あまりにも難易度が高いため、世界的名手たちがアマチュアゴルファーのような大叩きをするシーンも珍しくありません。
ただし、難しさにより大叩きする選手ばかりではなく、3ホールでスコアを伸ばす選手がいる点もアーメンコーナーが面白いとされる理由です。
またこの言い回しを用いて、一般的なゴルフ場でも、大叩きのリスクがあるコースやコース群をアーメンコーナーと呼ぶことがあります。
まさに天国と地獄が分かれる3ホールであり、アーメンコーナーに注目すれば、これまで以上に観戦やラウンドを楽しめるでしょう。
アーメンコーナーの名前の由来
アーメンコーナーは、キリスト教やイスラム教で祈りの際に用いられる言葉「アーメン」が由来の言葉です。
「アーメン」とは祈りの際に使われる言葉であり、まるで天に祈るような緊張感の中でプレーすることからスポーツ・イラストレイテッド誌のハーバート・ウォーレン・ウィンド氏によって名付けられました。
着想を得たのはジャズの「Shouting in that Amen Corner」で、1958年当時に流行していたようです。
プレーヤーはもちろんですが、観戦する側も天に祈る特別な3ホールとして、長きにわたりアーメンコーナーと呼ばれています。
オーガスタナショナルGCのアーメンコーナーのホールレイアウト
本場であるオーガスタナショナルGCのアーメンコーナーは、ミドルホール・ショートホール・ロングホールの順に以下3ホールで構成されており、それぞれ異なる魅力があります。

アーメンコーナーのホールレイアウトを知れば、マスターズ観戦がさらに楽しくなるでしょう。
オーガスタ11番ホール「White Dogwood」(ハナミズキ)|500ヤードを超える長距離ミドルホール
Par | 4 |
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距離 | 520ヤード |
2024年の平均スコア | 4.3859 |
2024年のコース難易度 | 1位 |
アーメンコーナーの1ホール目「White Dogwood」は、オーガスタナショナルGCで最も難易度が高いとされるホールです。
ティーショットを成功させても、セカンドショットでも200ヤード以上の距離を正確に運ぶ技術が求められます。
さらに、グリーン周りには池とクリークがあり、ダブルボギー以上が出るケースも珍しくありません。
ただし、難易度が高い分、スーパーショットが際立つホールでもあります。
11番ホールは、難ホールの攻略とショットの正確性、一発逆転のスーパーショットに着目すると楽しめるでしょう。
オーガスタ12番ホール「Golden Bell」(レンギョウ)|池とバンカーに囲まれたショートホール
Par | 3 |
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距離 | 152ヤード |
2024年の平均スコア | 3.1980 |
2024年のコース難易度 | 8位 |
12番ホールは、オーガスタナショナルGCで最も短いPar3です。
距離だけを見れば簡単そうに見えるPar3ですが、風の影響を受けやすいため、簡単にバーディーが取れるホールではありません。
12番ホールが難しい理由の1つは「レダンホール(レダンスタイル)」と呼ばれる難しいレイアウトをしていることにあります。
レダンホールとは、グリーン面が左手前から右奥に伸びている斜め形状のグリーンのことです。
グリーン手前に沿うように池が配置されているため、飛距離の落ちやすいフェードでは池に入りやすい設計になっています。
ドローで攻めても飛距離が伸びる分、奥のバンカーに入りやすくなり、少しのオーバーで池に入る非常に難しいショットが要求されます。
一方、レフティには相性の良いコースとなっており、実際に2003年から2012年の10回のうち5回の優勝者がレフティです。
プロの繊細な距離感と予想もできない大叩きが見られる12番は、ティーショットの緊張感に着目すると楽しめるでしょう。
オーガスタ13番ホール「Azalea」(ツツジ)|攻め方次第で難易度が変わるロングホール
Par | 5 |
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距離 | 545ヤード |
2024年の平均スコア | 4.7584 |
2024年のコース難易度 | 16位 |
アーメンコーナーで最もスコアを伸ばしやすい13番ホールは、545ヤードで2オンも可能な左ドッグレッグ(コースが途中で左に曲がっている)のPar5です。
ティーショットでフェアウェイを捉えれば2オンを狙えるものの、セカンドショットの距離感を誤れば手前に流れるクリークの餌食になります。
そのため、クリーク手前にレイアップする選手も多く、オーガスタナショナルGCの中でもトップクラスに戦略性が高いホールとして知られています。
バーディー・イーグルを取れば最後の5ホールに向けて流れを掴める一方で、一瞬のミスでボギー以上が出る点も特徴です。
各選手の攻めの姿勢と終盤に向けての駆け引きに注目すれば、アーメンコーナー最後のホールをさらに楽しめるでしょう。
アーメンコーナーで生まれた松山英樹選手の名シーン
2021年のマスターズは、松山英樹選手が日本人で初めて4大メジャーを制覇する歴史的な大会となりました。
日本ゴルフ界の歴史を動かした大会で最も印象に残っているホールは、2日目にイーグルを奪った13番「Azalea」と答える方が多いのではないでしょうか。
第1ラウンドでは、セカンドショットでグリーンを外してしまったものの、幸運に恵まれ、そこから見事に3オンでバーディーを獲得しました。
また、最終日は2位に6打差をつけた状態でアーメンコーナーを迎え、ピンチを招きながらもパープレーでしのぎました。
最終日のアーメンコーナーを抜けた段階で、松山英樹選手の優勝を確信した方も多いでしょう。
アーメンコーナーを理解してマスターズ観戦をより楽しもう
アーメンコーナーとは、ゴルフ4大メジャーのマスターズが開催されるオーガスタナショナルGCの11番~13番ホールの総称を由来とする言葉です。
「天に祈りながらプレーする」ホールとして名付けられた3ホールは、戦略性やリスク・リターンの選択・トーナメント終盤の駆け引きなど、多くのドラマが生まれる場所として知られています。
また通常のゴルフ場でも、「アーメンコーナー」と呼ばれるコースは高い戦略性が求められ、的確なコースマネジメントが必要になります。
長い歴史の中で、ゴルフ史に残る数多くの名場面が生まれたアーメンコーナーに注目すれば、マスターズ観戦やラウンドの楽しみが倍増するでしょう。

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【取得ライセンス】
・JGRA
【プロフィール/経歴】
チキンゴルフのレッスンマニュアルをゼロから構築。
青山学院大学を卒業後、一般企業へ就職。
その後、笑いが絶えないゴルフティーチングプロを目指し、ゴルフ専門学校へ入学。
JGRAのライセンスを取得し、明るい性格を活かしながら「楽しく真剣なレッスン」を提供中。